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「……相変わらず、物騒ですね風兎さん」
横目で回転するナイフを見た柚は、随分風兎のことを知っているような口調で言った。
物を宙に浮かす、動かすなど、一見怪奇現象にも見えるそれらは全てアテナによって行われている人為的な現象である。
フンと鼻で笑った風兎は、お前に言われたくねぇ、と目を向ける事はなく告げた。
その言葉に鼻で笑い返した柚は、右掌を正面の獣竜の群れに向ける。
「風兎さん、100頭と言わず全部狩りましょうよコイツら」
「……アチーんだよな、気温も、お前も」
ニヤリと笑った風兎はナイフを獣竜の方へ飛ばし、それを追うように駆け始める。
すみませんね、と反省の色など全く見せずに言う柚の周りには、液体が漂っていた。
「御門、援護頼む!」
「ハイ!」
そう言うと、両手にナイフを持ち群れに飛び込んで行く風兎の周囲に、銃弾よろしく液体を撃ち込んでいく。
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