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次々と敵をなぎ倒して行く風兎と柚は、互いのことをフォローしながら群れの中央まで突き進む。
「増えてねぇか!?」
「……ですね、キリがないです」
「……しゃーねぇな」
風兎は体の周りを飛んでいるナイフの本数を増やす。
それに対して柚は全てを地に返すと、アレですか? と尋ねる。
仕方ないだろ、という返事に、ですね、と言うと風兎と背中合わせになる。
「御門……」
「なんです?」
「……デカくなったな」
その言葉に、は? と思わず声が漏れる。
フンと笑った風兎は、なんでもねぇよ、と誤魔化す。
首を傾げた柚は、まぁいいか、と自分の気持ちに区切りを付ける。
そして、付け足して言う。
「帰ったら、食事でも」
風兎の顔を見上げる。
視線に気付き、風兎も顔を柚へ向ける。
「………」
無言のままニコリと笑い、そして獣竜を睨み付ける。
「御門、頼む」
「ハイ」
柚は天へと右手を振り上げる。
そして、今だ! という風兎の合図に合わせて振り下ろす。
それに導かれるように天から弾丸のように液体が降り注いぐ。
それらは獣竜の体を貫き、噴水のように赤い血が噴き出す。
風兎さん、という柚の掛け声に、ああ、と頷くとナイフを投擲する。
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