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しかし仮想世界で触れるものの全てが、少女に希望を与えてくれるモノではなかった。
目的として探していた母親は、見つけることは出来たが心を触れ合わせることなく引き裂かれ、今まで遭遇することがなかった強い感情の前に歩みを止めようとしたこともあった。
しかし仮想世界で触れるものの全てが、少女に絶望を与えるモノでもなかった。
今まで触れることがなかった『情』が少女を前に進むように背中を押し、寄り添うように集まった者達は、少女に居場所を与える。
重なっていく『情』と、広がっていく『悪意』
そしてついに、少女は沈みゆく中で世界の理を理解する雲雀に出会うきっかけを手に入れることになる。
やっと出会える、ずっと探していた者に
けれど、世界はそれでも少女に残酷な結末しか用意してくれなかった。
雲雀は言う『愛する者は死んだ』と。
悪意と思惑が加速していく世界で、それでも少女はタイムリミットが切れる前に最後の扉に辿り着くことが出来るだろうか。
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『仮想世界』は『現実世界』と同じように、楽しいものだけを与えるものではなかったようだった。
苦しいと涙しながら己の力不足を嘆き、人の温かさを感じながら触れ合う情の大切さを感じる。
まるでそれは1つの現実で、今まで閉鎖されていたところでしか生きられなかった彼女にとっては、初めて広がる大きな世界そのものであったのかもしれない。
世界は綺麗で、汚くて、そして残酷である。
それを感じさせる、仮想世界で突きつけられた『1つの結末』を持って1章は締めくくられている。
さて、2章では一体どんな結末が彼女たちを待ち受けているのか。
真実を曲げることなく記すその先に、どんなものが待ち構えていたとしても、彼女の歩みが止まるまで、我々も止まることをしないと誓おう。
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