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手元にただ残るは 後悔と 虚無感
愛する人の 面影を守り 安寧を 求める 汝に 『破壊スル力』 を
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これはシンボルが『攻撃』に相当する彼の神託である。
彼は誰よりも安寧を願っていた。変わらないことを願い、穏やかな微睡を願っていた。
初めて出来た大事な存在のために、居場所を守りたいと願う彼にそれでも与えられるのは、大事なものも破壊する力のみ。
彼は一度諦めた。大事なものを破壊するしか出来ない己の能力から目を背け、ただひたすら己の力を否定していた。
それは何も2度の決別だけを指す言葉ではないことを今ここで話すことはしないが、彼は愛した者がことごとく自分の手から離れ、掴んでも手に入れられない事を受け入れようとしていたのだ。
けれど全てを知る雲雀はかつて彼にこう言った。
『あなたには必ず『光』が差し込んでくれる。あなたを優しく包み込んでくれる“優しい光”が、必ず』
その光は彼を決して1人にしない。
そして光を得て再び花開く彼の力は、今度こそ破壊以外の何かを生み出してくれる事だろう。
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