第1話

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んん・・・嗚呼、今日もいい朝だ。 カーテンの隙間から溢れる光で目を覚ました俺は、薄暗い部屋の中でぐっと伸びをする。 「いやぁ、ほんとにいい朝だな・・・ん?」 ふと視線を右へやると、そこにはお気に入りの黒いシンプルな目覚まし時計は時針を4時の方へと向け、赤い秒針はぴくりとも動いていない。 冷や汗をかきながら、青いカバーで覆われたiPhoneを起動させると、誇らしげに8:20と表示していた。 ・・・訂正。今日は悪い朝だ。 なんか面倒くさくなり、そのまま思考回路を学校を休むという選択肢に向けて、iPhoneで学校へ連絡しようとしたとき 「零、起きてるかい!?」 と、俺の今日は学校サボるぞムードをぶち壊す声がドア越しに聞こえてきた。 iPhoneをぶん投げたい衝動を抑えつつ、「ああ、今起きた」と素直に返事をする。 「早く支度してよ!遅れちゃうよ!?」 「分かった、ちょい待ってろ」 引き出しを開けて制服を取り出し、手早く着替えると、ほぼ空の学生鞄を引っ掴んでドアを開ける。
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