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「ここ、どこだよ……」
広い草原で俺は慣れたように呟いた。
結構飛ばされたなぁ。
辺りを見回し、冷静に状況を確認する。
けれど、辺りは何も無い。
方向も分からず適当にさまよっていると、後ろから何かが近付いて来たのに気付く。
馬車だ。
ラッキーと思いながらその持ち主を見た。
「あれ?おじさんじゃないですか。」
「おぉ、クロス君久し振りだね。何?また飛んできたの?大変だねぇ。」
「えぇ、まぁ。」
このおじさんは俺の町と隣町を馬車で走っている。
前に車輪が溝にはまってしまって動けなくなっていたのを助けてから仲良くなった。
「乗ってくだろ。丁度向かってるところだからさ。」
「はい、ありがとうございます!」
俺はおじさんの馬車に揺られながらぼーっと何処かを眺めていた。
平和だなぁ……
本当にこの世界が平和で良かったと思う。
戦争だ、内乱だ、流行病だ、なんてあったら俺はもう生きていないだろう。
この世界では基本的に子供から老人まで何かしらの力を持っている。
それは空を飛ぶ力だったり、火をおこす力だったり。
まぁ一般人のほとんどは息を長い間止めたり、時間が正確に分かるとか程度の力だけども。
俺は生まれてからその力に翻弄され続けてきた。
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