プロローグ

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俺の能力はテレポート。 本来ならば国から雇われるほどの力だ。 けど、俺には問題がある。 一つは半径三メートル位しか移動出来ないこと。 半径三メートルと言うのは数少ないテレポート能力者の中でもかなり短い。 それなら速さ動く能力者と変わらないからな。 そしてもっと問題なのが制御出来ず何処かへ飛んでしまうことだ。 三メートルの制限はどこへやら、酷いときは数キロ飛ばされたりする。 生活にも大きく関わってくるし、これじゃ将来まともに仕事が出来なさそうだ。 それに最近、飛ばされる距離がどんどん伸びていっていて、本当に困っている。 まぁそれのおかげ――というと何だかおかしいけれど、俺はちょっとした知り合いが多い。 俺はおじさんをチラッと見る。 このおじさんには草原を彷徨っている時、よく拾ってもらって町まで連れて行ってもらう。 色んな人を助けては、助けられて。 ありがたいなぁ…… 「……ス……クロ、君……」 「……ん。」 「クロス君!町についたよ!」 「へ?あ、あぁありがとうございます!」 いつの間にか寝てしまったらしい。 俺はおじさんにお礼を言って、家に向かう。 そうだ、途中で夕飯の食料を何か買っていこう。 大通りを歩いていく。とても賑やかだ。 先週、王子が継いだとかで世界中は大盛り上がり。 祭好きのこの町は未だに騒いでいる。 俺はいつもの店で今日の夕飯を考えながら見て回る。 「おばちゃーん!これとこれちょうだい!」
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