プロローグ

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それはこの世界では常識となっている。 ある学者はこう言った。 『この世界に広がる力はある種、病であり精神病のようなものだ。』 科学的な根拠はないけれども、能力と精神は大きく関わっている。 精神的に成長すれば能力は上がるし、やる気に応じて性能は変わる。 ハルトは俺の移動できる距離が増えて草原から転移したのかと聞いているんだろう。 「……んーレベルが上がるようなことは無かったけどなあ。」 ハルトは残念そうな顔をする。 「そうか……能力を制御出来るようになったなら方法を聞きたかったんだが。」 そう、俺たち二人はある共通点がある。 それは能力の制御が出来ないと言うことだ。 まぁ暴走仲間だ。 この俺にはもったいない程に顔も性格もイケメンの友達、ハルト・アリス。 自分の名前が……ちょっとアレなのを気にしている。 能力は以心伝心。 自分の感情と相手の感情を同じにする能力だ。 レアな精神感応系能力で、もし未知の知的生命体があらわれたら役立つであろう力なのだけれど。 俺と同じで使えない。 いや、使えるは使えるけど使いっぱなしというかなんというか……自分で使ってるか使ってないかが分からないらしい。 だから楽しいや嬉しいという感情がどっちの感情か分からない、と本当に大変な悩みを抱えている。 もし、何か制御する方法があれば一番に教えてあげたい相手だ。
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