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「てか十分前は俺、この町に戻ってきた位の頃か、おばちゃんと話してた頃だぞ?」
ハルトは首を傾げる。
「でも今さっき俺がいつも通り勉強を教えて欲しいと頼んだ途端、変なことを尋ねて……そのあと血相を変えて向こうへ走って行ったじゃないか。」
俺がハルトに勉強を教えるのはいつもの事。
それを聞いて変なことを尋ねたとなると――
「それ、本当に俺だったか?誰かが化けてたとかないか?」
ハルトはその問いに即答する。
「いや、それはない。あれが誰かが化けていたお前だったとしたら恐るべき能力だ。話し方や細かな仕草、それに感情の動きまで同じだったからな。」
俺がどんなときにどんな感情になるのか位長い付き合いだから分かるとハルトは言った。
確かに心の中まで化けられるほどの人間がこの町にいるのも、俺に化ける理由も無い。
なら、そいつは一体?
「ただ……今考えて見ると何かが違ったかもしれない。何が、と聞かれても答えようがない何かが。」
「そいつ、何を言ってたんだ?」
「確か――世界が、とか何とか……」
「世界?」
俺の偽物はなにかをぶつぶつ言って向こうに行ったという。
「ごめん、ハルト。勉強は後ででいい?」
俺はそいつを追いかけることにした。
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