19人が本棚に入れています
本棚に追加
今日もまた、地下室の扉が開かれる。
だが、いつもより時間が早い。
……飯か?
使用人が下りてきたのだろうか?
色々な事を考えたがどれも違った。
「……親父」
約一年ぶりだ。
俺が地下室に閉じ込められた時以来、会っていなかった親父がそこにいた。
「ユノ……すまない。」
親父もかなりヤツレている。
母さんが死んで狂った親父だが、少しはまともな判断も出来るのか?
「私も最善を尽くした。だがもうどうすることも出来ない。お前をここから出す許しを貰った。これもお前の為だ……。」
そう言って親父は地下室を出ていった。
恐らく地下室から出すと言っても、俺は国境付近に捨てられるのだろうけど……
だがユノにとってそんなことはどうでもよかった。
この生活が終わるだけで満足だ。
最初のコメントを投稿しよう!