story7.幸か不幸か

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悠って……なんで……。 切り離したヤツの名前が、どうしてここに出てくるのか。 だけど、広瀬の口から出てきたモノは、 「──どれだけ濃い時間を過ごしたと思ってるんですか」 …………? 説明には思えない内容 俺は首を傾げた。 そんな俺に 「悠が言ってたんです」 と、広瀬は付け足す。 「俺達の知らない事、悠達と過ごした時間は、濃かったんじゃないですか? 今回の件、俺が気づいたんじゃなくて、──悠ですよ。 あの人きっとやってるだろうから、手ぇ貸してやって、って。」 「…………っ」 ジンワリと浮かぶ光景。 紗英を守るために身体を張って、結婚を前に変装までかってでてくれた。 全てが濃かった……。 最初はライバルのような関係から、仕事でもプライベートでも必要不可欠な存在。 「俺は、何も……、何も見えてなかった……」 その言葉が、重く心にのしかかってくるのを感じた。
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