story.1 その瞳は

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 それにしても、なんだ?  メールの内容は、――今日の打ち合わせで話し忘れた事があるから来社お願い致します。  あれ以上、何を話すんだ?  まだ現地には出向かない筈だし、生地も人手も間に合ってる。  それに、デザインは紗英が仕切るから問題はない。パタンナーは、紗英の信頼できる奴だと聞いてる。  現地に問題か? いや、なら斗真自身が連絡をよこすだろ。 「フゥー」  考えても出てこなくて、深い溜め息が鼻から抜けた。  まぁ、――明日だ。明日また斗真の会社に行けばわかる。  そう思って、デスクに残る書類の片付けを始めた。 ――明日は、会えるだろうか。  それが、全ての始まりになるとは知らずに――――……。
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