プロローグ

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 広々とした空間。  やけに静かで、室内にいる筈なのに波の音が近くに聞こえる。 「ハァ……」  天井を仰ぎ見て、溜め息を吐けばその空間に響く。本来なら聞こえない位のモノな筈なのだけれど。  やり過ぎたんだろうか。  いや、仕方なかった。  自分のしてきた事、した事が正しいと言えた。 ――今まで、ならば。  だけど、大き過ぎた。  失ったモノが。  今まで沢山のモノを失ったが、代償があった。  しかしながら今回は ――代償なんてモノは  存在しない。 「――紗英……」  真っ白な天井、シャンデリアは暗闇に消えた。
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