story.1 その瞳は

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 そうさ。 ――哀れだ、俺は。  良かれと思ってきた事は  年月かけてしてきた事は  全て、――無意味。  全て、――身勝手。  全て、――自己満足。  俺は今まで、何をしてきたのだろうか……と、今回の事で学んだ。 ――遅い。  遅いけれど、会社の社員達へ自分の関わる人間達への考え方が、変わった。 ――――大切な人  その輝きを失う事で、手に入れた。失うのは簡単だけれども、手に入れる事や戻す事は難しい。  それを、今更知った。 「颯人が遅刻なんて珍しいな」 「ああ、すまない」  社長室に入って、ブラインドの前に立つ斗真がそう言って  笑顔と共に振り向く。  コイツで……斗真で、良かったのかもしれない。 ――紗英の相手が。
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