story6.変わらない温もり

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「ちょ……片桐さん、勘違いしてません?」 見た目の冷静さとは裏腹に、中身で黒く渦巻く俺の心。 そんな俺の中身なんてお見通しのような、想定していたような冷静な口調。 その態度が、渦巻く速さを加速させていく。 コイツは……置いとけない。勘違いもなにもない。 「出ていけ」 腹の底から出た声が、自分の声とは思えないくらい低くて、 でも、ぐちゃぐちゃの頭で今は何も考えられなくて ただ、 「片桐さん、聞い──」 「出てけっつってんだろ!!!」 悠の顔を今は見ていられない。 これ以上は、──無理だ。 「……わかりました」 「…………」 様々なコトに協力し紗英を守ってくれた悠を これ以上疑いたくない……。 「いいんすか?」 「…………」 復活したのか 真剣な表情を浮かべてそう言う矢崎を瞳に映して 事務所の入り口を出てていく悠の背中を 黙って見送った。 「…………」 悠、オマエは何の為に俺の前に現れたんだ…………。 それを知った時 また俺は────。 「ちょっと早すぎだったんじゃないんすか?」 「だって、早く────」 俺の知らない場所で 確実に ────進行 そう、何かが進行しているコトなんて、知る由もない。
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