story7.幸か不幸か

7/10
前へ
/81ページ
次へ
全てが 自分の思うようにいかなくて 悔しくて、苦しくて、それでも社員達がいて、だからこそ 再出発をしてここまで来れた。 海外向けのショーが頭を過るけれど、俺達にはショーがある。小さなショーだけど、それも立派なショーだ。 考案もデザインも完成はしているけれど、 ──作品は出来ていない。 無理がある。 それに、俺1人が決められる事ではないんだ。 そう言い聞かせて 「社長」 スッ、とソファーから立ち上がった俺を 「片桐君……」 社長は 悲しげな瞳で見上げた。きっと、次に出る言葉を理解しているから。 「申し訳ありませんが──」 お応えするのは難しい そう出る筈だった言葉が 遮断された──…… 「?」 パーテンションで 隔離されたスペース 「────片桐さん!!!」 それが開け放たれ 声を発したであろう広瀬を先頭に、社員達が 視界に現れたから 「────!?」 そして視界に映る全てに俺は驚きを隠せなかった。 何故なら─────……
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!

360人が本棚に入れています
本棚に追加