story7.幸か不幸か

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「断るなんて言わないですよね?」 真剣な表情を浮かべる広瀬 その隣に矢崎が笑顔を浮かべて並ぶ その手には、 見覚えのあるドレス。 ショーの最大の見所として、高級感溢れる中に優美さをプラスさせた俺のデザイン。 「……なん……で……」 そう漏れる俺の言葉に 「なんでって、寝る間も惜しんでデザインして考案書も書いてるのみたら、動かないでいられないじゃないですか」 デザインブックを片手にもう片方には考案書を持った広瀬が、そう言って笑う。 ……バレ、てた……。 そんなやり取りを見ていた、MIZUHOのモデル事務所社長も 「片桐君頼むっ!」 再度頭を下げた。 「社長……」 「片桐さんっ」 社員達の訴えに、 「わかりました」 もう、断る意味なんてない。 「ありがとう片桐君っ」 事務所内が 歓びの空気を吹き上げた。
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