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五月の終わり。
体にまとわりつく湿気と、生ぬるい気温が不快さを割り増して、満員電車に乗る気になれずに、仕方なく電車を一本見送った。
次の電車まで5分。
次の電車は各駅停車するので幾らかはマシになることを俺は知っていた。
同じ場所で次の電車を待つ。
ふと、視界の端に、向かいのホームに立つ彼女を捉えた。
肩まである黒髪、紺色のセーラー服、黒色の手提げかばん、白色靴下にローファー。
どこにでもいそうな女子高校生だと思ったが、空を見上げ、視線を宙に巡らせる仕草が、どことなく儚げに見えた。
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