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【美優Side】
翌日、海翔は朝食も食べないで、ギターケース片手に家を出た。
あたしはママと庭で洗濯物を干していて、偶然海翔と鉢合わせする。
海翔は庭を横切りながら、あたしに視線を向け、『わかってんな』と言わんばかりに、ギロリと睨み付けた。
あたしは知らん顔で、視線を逸らす。
パンパンと洗濯物をはたきながら、ハンガーに吊るす。
「海君、ミュージックフェスティバルに出るんだってね?応援してるからね」
ママは海翔に明るく手を振る。海翔は照れ臭そうにペコッて頭を下げた。
「いってらっしゃい」
ママの言葉を聞きながら、あたしは海翔の背中を見つめた。
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