チーズケーキ

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俺たちって、どんな関係? フォークを見つめて、ふと思ってしまった。 部屋の机の上にあるのは、白い皿。 の上のレアチーズケーキ。 『琥太郎にあげる分作り過ぎたから、蓮にもお裾分け』 そう笑ってクラスメートの杏梨は俺に青の小さな袋をくれた。 やけに印象に残っているのは、杏梨がその白い肌にやや赤みを帯びていたからだ。 たぶん、俺と杏梨の関係に名前を付けるなら、クラスメート。 幼い頃、近所ではあったがべつに遊んでいたわけではない。 だが、高校3年になって同じクラスになっただけ。 今年に入るまで、杏梨が同じ学校にいることさえ気づかなかった。 俺と杏梨はそれくらい縁が薄いのだ。 視界にさえ意識しなければはいらない。 ハズなのに……ーー。 小さくフォークで切ったチーズケーキを口にすると少しチーズ独特の酸味が口に広がった。 口から消えるまで数秒、杏梨の顔が脳裏に浮かぶ。 杏梨と親しくなったのは、中学から友達の琥太郎がきっかけだ。 琥太郎と杏梨の友達の明菜は付き合っていた。 だが、最近琥太郎は明菜と別れたらしい。
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