第九章 傷跡

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「それはもちろんなんですが、うちはあくまで仲介店の一つなので、他の不動産会社もあの物件を紹介している可能性は十分に考えられます。 普通は物件情報を更新して、入退去の詳細を明確にするのが基本なのですが、今回の304号室に関してはそれが共有化出来ていなかったのかもしれません。 責任逃れをするような言い方で申し訳ありませんが……」 「まぁ、時間は戻せないですし、これ以上問い詰める気はありませんけど、御社にあるブラックファイルに情報をしっかりと書き加えておいてくださいね? これ以上、あの304号室に住もうとする人間が現れないように。 で、物件の方はどうでしたか?」 俺は話を物件内容にシフトさせる。
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