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そのメールを見た沙知は、俺の方に顔を向けて静かに頷いた。
アパートを出て車に乗り込み、同棲する前に行っていたドライブコースを巡る。
9月中旬にしては生温い風が窓から入ってくる。
心なしか嬉しそうに見える沙知は、流れていく景色を懐かしむような表情で見つめていた。
最終的に車はプロポーズしたフレンチレストランの駐車場で停止した。
不思議そうに俺を見つめる沙知。
俺は携帯を取り出して黙々と文章を作成し、沙知にメールを送る。
【全部忘れる事は難しいかもしれないけど、もう一度この場所から始めよう。
止まない雨が無いように、終わらない苦しみは無い。
結婚式の日にはきっと誓いの言葉を自分の口で告げる事が出来る。
これから先どんな事があっても、俺は沙知の事を愛し続ける。
だからこれからも俺のそばで微笑んで居てほしい】
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