最終章 声

19/19
4830人が本棚に入れています
本棚に追加
/304ページ
「な……ば……い……」 深夜2時を過ぎた頃、声を失ったはずの沙知の寝言で目を覚ました。 声が小さすぎて何を言っているのかわからなかったが、沙知の声が戻ってきたのではないかと嬉しくなり聞き耳を立てる。 しかし、沙知は寝息を立てるだけで何も言葉を話さない。 『気のせいやったんかな……でも、沙知が何か寝言を呟いたんは間違いない……。 明日、起きたら沙知に教えてあげよう』 再び布団をかぶって目を閉じた瞬間、2度目の沙知の寝言が寝室に響いた。 それは幻聴だったのかもしれない。 しかし、俺の耳にはこう聞こえたんだ。 「みんな 死ねば いい」 完
/304ページ

最初のコメントを投稿しよう!