序章 304

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男が絶命しても、女は何度も包丁を男の身体に刺しこんだ。 肋骨の隙間という隙間に包丁を突き刺し、内臓を傷つける。 次第に女の白いワンピースは、返り血で赤色に変わっていた。 1時間後、ポタポタと落ちた赤い血雫はフローリングの床に点々と道を作り、その血で出来た道は風呂場に伸びていた。 電気の点いていない風呂場には、自分の首に包丁を貫通させた女が寝転がる。 既に息はしていない。 ただ、ギョロリと見開いた目は常人には理解できない恨みが篭っていた。 風呂場の鏡には、男の返り血で書いたと思われる文字が流れる。   『みんな  死ねば  いい』
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