葬送

2/3
前へ
/55ページ
次へ
 2020年  9月10日  10:24  ワシントンD.C 「人がいたら撃て! ここにいる奴は全部敵だ!」  サイモンが勇ましく叫び、仲間達を叱咤激励した。  鋭い銃声が辺り一帯に響く。  目の前にAKを持った兵が現れ構えを取った。 「なめるなよ!」  銃身を掴んで腕から引っこ抜く。  そしてその長い銃で顔を殴った。  懸命に起き上がろうとするが、頭に鉛玉をぶち込んで黙らせる。 「よし! クリア!」  サイモンが再び叫び、兵を集合させる。 「何故か懐かしく感じるな… ジョンソン?」 「ああ…」  ジョニーがふざけて新兵の尻を叩いて回っている。 「ジョニー! 来い!」 「うおっす!」  二人で歩き始めた。 「もう… 一ヶ月以上経ってるな…」 「ああ、クソ埃くせぇ… そうだな」 「こっちで合ってたか? 覚えてねぇ…」 「こっちで合ってるだろ。 ほらあの黒い所が…」  ジョニーの指差す先には、黒い染みらしきものが付着した地面があった。 「マック…」  さほど古くないが少し薄らぎ始めていた、ここでの体験が脳に甦った。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加