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気が付けば、俺は大きな広間の真ん中に立っていた。
周りには、片手剣や大剣、双剣を装備した甲冑の騎士が一列になって並んでいる。
ここがどこなのかとか、今自分が何をすべきかとかがまったく分からないまま立っていると、よく通る女性の声がした。
「勇者様、ようこそサウスベイ王国へ」
声のした方を見遣ると、銀色の騎士達の中から、一人だけドレスを纏った同年代の女の子が歩み寄って来ていた。
好奇心に輝く深緑色の瞳、丁寧に撫で付けられてウェーブもかかっているが、よく見ると傷んだ金髪。
そして腰には、バラの花弁を象った鍔を持つ一本のレイピアが提げられていた。
「初めてお目にかかります、勇者様。私はこの国の王であるセンティウスの娘、アリア=ガザリア=ヴァーミコットでございます」
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