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「ところで王女様、案内してくれるのは嬉しいんですけど、なんで護衛の兵士を付けなかったんですか?勇者召喚された身とはいえ、俺が何するか分からないじゃないですか」
長い廊下を歩いているとき、ふと気になった質問を王女様にぶつけてみた。
「それは……ですね、自分が隙をさらすことで相手に敵意がないことを示すんだよ……じゃなくて、ですわ。………………ですわ!」
挙動不審だった。
さっきまでの立派な振る舞いはなんだったんだってレベルできょどっていた。
こっちを振り向いた王女様の頬は彼女の剣の鍔のごとく赤色に染まり、腕をブンブン振りながら涙目で慌てていた。
あーこの子可愛いな~。そしてこの子敬語苦手なんだな~。
まさかこの異世界に来て俺以上の敬語苦手人間に会うとは。
多分、さっきまでの態度はメイドさんか誰かから教えられて丸暗記したものなのだろう。
「あー、分かった分かった。とりあえず俺は普通に喋るから、王女様も無理して敬語使わなくていいぜ?」
「…………いいの?」
涙目頬染め上目遣い王女様グッジョブ。
なにこの子可愛い。お持ち帰りしたい。
でも俺は紳士なので表情には出さない。
紳士に死角はなかった。
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