第一章 王城にて

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      *      * 「そういえば私、いくつか聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」 再び歩いていると、隣を歩いているアリアがそう話し掛けてきた。 「俺の答えられる範囲であればな」 「じゃあ一個目。私、ヒュウガ君が今履いてる履き物って見たことないんだけど、あれかな?勇者の正装みたいな感じ?」 「履き物…………?」 魔方陣に乗った時って靴下しか履いてなかったはず。 というか、名前から分かる通り、俺は日本に住んでいたため、室内で靴は履かない。 いや、待てよ。 この世界に飛ばされる前に、一個履き物の話題が上がったはず。 嫌な予感がして足元を見ると──────そこには、トイレスリッパ【神級】の姿が。 自動装備!? わートイレにもそのまま入れますねー便利ですねー って、アホか!! 神級というだけはあって、今まで履いていることすら気付かない履き心地だったわ!!! ………あー、どうしよう。 なんて言おう。 ちなみにアリアは唇に人差し指を当て、首をちょこんと傾げている。 いちいち可愛いなアンタは。 「えっと……とりあえず汚いから(トイレで使っている的な意味で)触っちゃ駄目だぞ?」 「汚いから(返り血で的な意味で)……か。そっか、凄いね!」 ……………何が?
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