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そこで彼女は話を区切り、
「それに、あちらの世界で生き抜けるかの適性とかもありますからね…………」
と、どことなく陰鬱そうに付け加えた。
それは、彼女が初めて見せた、表情らしい表情だった。
「…………………」
別に、感傷的になったわけではない。見知らぬ他人を護りたいという正義感に囚われたのでもない。
ただ、直感的に、無表情で何を考えているのか読めないこの神様を、救わないといけないと思った。
「……やるよ。俺でいいなら、勇者でもなんでもやってやる」
「そうですか、話が早くて助かりました。では、服装などはそのままでいいので、魔方陣の上に立ってください」
「ああそうだ、この際だから1つ聞きたい。神様、アンタの名前は?」
「称号ならいくつか持っていますが、私に名前というものはありませんね。貴方が付けますか?」
「いいのか?」
「はい。この際ですし。思いきって名付けちゃってください」
「ん~、じゃあ、『フーガ』っていうのはどうだ?なんかアンタにはその名前が似合う気がしたんだ」
「貴方はなんでも直感で決める方ですね」
「アンタには言われたくない」
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