学食で。

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「ちょっ……待てって!」 長い足でどんどん歩く逢坂を必死で追いかける。 神様は意地悪だよな。 こんだけ顔もスタイルもカッコいい男と、俺みたいなつまんねぇ男。 惨めな気持ちにさせて空から眺めるのが趣味なのか? しばらく真っ直ぐ進み、角を右手に曲がるとコインパーキングがあった。 「あの車。 先行ってて」 財布を取り出してコインを投入する。 指さされた方の車に向かってから、俺はものすごく納得した。 「学生でB○Wかよ。 アイツっぽいな」 クールで気障。 気障っつーか……見栄っ張り? 昔の逢坂は、少しそんなところがあった。 遊んでたくせに成績が良くて。 外で会うと流行りの服を必ず着ていて。 できそうにないこともなんだかんだと全部こなして。 結局、努力家だったんだ。 俺は全部見てたから……それは知ってる。
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