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俺は二限の授業を受けたあと、学食へと向かった。
朝ごはんを抜かしてきたため、すでに腹が減っていた。
緑樹の道を抜け、広いカフェテリアさながらの学食に入った。一年前に建て替えたばかりで、校舎の中でも一番綺麗な建物だ。
ゆっくりといつもの所定の椅子に近付いた。
ーーやっぱりいる。
荷物を机の上に乗せると、それまで本を読んでいたそいつは顔を上げた。
「おう。 なにお前、俺の顔になんかついてる?」
ダークブラウンに染めた髪をかきあげて、唇の端を上げる。
高い鼻はすっと通っていて、声は低いバス。
「別に。 っていうか、なに。 アンタこそなんでまたここにいんの」
このやり取りにも少し飽きてきた。
入学してからだから、かれこれ四ヶ月。
俺たちはこの意味不明な会話を毎日のように交わしている。
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