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クライシス学園を出るまでに聞いた陰口を全てウィンが制す。
「睨みきかせなくてもいいって、いつも言ってるだろ」
聞こえてくる陰口には傷付くが、それを一々気にしていても身が保たない。
そもそもこの陰口の原因は幼なじみの3人である。
「ヤッ………!」
ヤッじゃないよ。
「………カサイ」
眠たそうな目つきで俺を見上げ、小さな口から奏でられた1人の名前。
「んー」
カサイというのは両親がつけた俺の名前。
「……おうち、行って、も……い、い……?」
「いいよ」
久しぶりにウィンが家に来るのか。
何しに来るの?家になんもありませんよ。
「………ごはん」
俺の料理目的かよ。
確かに一人暮らしでそこそこ作れるが、貴族の娘であるウィンのお抱えシェフの方が遙かに美味い。
これは謙遜でもないし、ただの事実と言えよう。
上等な食材に、腕利きのシェフが作った料理は一般庶民が、一生に一度あるかないかのもので、あまりの美味さに感動した。
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