二章 血

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「……彼は人を引き寄せる力があります。カリスマ性が並みではありませんね」 理由なんてないんだな。ただ勘に従っていたんだろう。 「ゼメキスは王の器がある。しかし、今は貴様だ。庶民。知っていることを洗いざらい話して貰おうか」 斧に力が込められる。さっきから首が痛い。血が流れっぱなし。 顔を上げるとジェドさんは鬼の形相をしていた。 震えながらゆっくりと空気をすって、吐いた空気と一緒に言葉を混ぜる。 「言えません」 「なんだとぅ……」 「ヒィッ!」 誰か助けて……。この人怖い。 「い、い、言えません」 「答えろ。手段は選ばんぞ」 その言葉を聞き命乞いのように必死に弁解をしていた。
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