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嘉永6年(1853年)
江戸湾入口、浦賀沖に、アメリカ合衆国マシュー・ペリーが率いる真っ黒な色をした艦隊、俗にいう黒船が日本を侵略する為にやってきた。
これにより、日本全土の武士は国を守る為に刀を持ち立ち上がった。
ーー幕末の始まりである。ーー
当然、土佐藩の侍も息を巻いた。
しかし、これを上士は良く思わなかった。
自分ら上士が立つならば良し、ところが下士は奴隷であり侍では無い。
勝手な事をされるのは気にさわる。
上士が下士に対する当たりが益々強くなった。
以蔵も何度も苦渋を飲まされた。
しかし上士に逆らおうものなら、一家もろとも切腹、いや足軽では切腹すらさせてもらえず曝し首かも知れないが、死罪は免れない。
それでも以蔵は己だけの事だけならば、いささか堪える事もできた。
ところが、上士の人を人とも思わぬ対応は、以蔵の家族や友人へも向かっていった。
以蔵は許せなかった。
本当は上士を全員消し去ってやりたかった。
しかし下士である足軽には直談判する権力も無ければ、藩の政治に口を出せる身分でも無い。
以蔵は毎晩毎晩、家族や友人が苦しめられるのを目をつむって堪えに堪えた。
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