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そんな時に出会ったのが、彼にとって運命の人となる武市半平太、後の武市瑞山であった。
武市半平太も下士ではあったものの、白札郷士といい当主は上士に準ずるといった限りなく上士に近い身分である。
更に成績優秀、剣の腕は立ち、一際偉才を放っていた。
そんな武市半平太は以蔵を、足軽だからと差別する事はなく、まるで弟のように可愛がってくれた。
以蔵は心底、胸が奮えた。
この人に付いて行こう……。
そう決めた。
以蔵は直ぐさま、武市の開く剣術道場へ通った。
するとメキメキと力を付け、頭角を表してきた。
同門の中岡慎太郎も、以蔵の腕前には舌を巻いた。
以蔵はいつか、この力で武市を守るのだと必死に稽古をつんだのだ。
「以蔵、江戸へ行こう」
ある日、武市にそう告げられた時は天にも昇る思いであった。
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