340人が本棚に入れています
本棚に追加
/390ページ
「噂には聞いてたけど、こんなおっかないんだな、主付きって」
遥が鏡に聞かれてはいないかとそわそわしている。
「ここで肝心なのがそのトレゾールだ」
古宮がびっと懐中時計を指した。
「アリスの持つトレゾールはとんでもなく強力な代物とされている。だがその能力は誰も知らない。勿論、アリスの存在自体が霧がかった伝承話に過ぎなかったからだ」
「じゃあ、この時計の能力って」
「確かではないが……おそらく、『トレゾールの主と対話出来る』」
「凄い!」
「そう……なのかな」
遥は感嘆したがカヨにはよく分からない。
「ラディスでも言ったが、それは常に閉じて隠しておけよ」
古宮が釘を刺し、カヨは素直に懐中時計を元の制服の下に仕舞った。
「そういえば、遥と古宮さんは何処へ行っていたんですか?」
鏡に飲み込まれた後、どうなったのだろう?
二人は顔を見合わせた。
「まぁものの見事に」
「?」
「「何も無かった」」
最初のコメントを投稿しよう!