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黄色の光る粉をまぶして散らしたように花が咲き乱れているお花畑。
ここはわたしと母さんの秘密のお花畑。
わたしだけの秘密になったのも今の季節だった。
今は仲良く父さんと一緒にいるよね。
風に漂う香りの中、ひときわ甘い香りをした薄い水色の花を選んで摘み取る。
いつもこの香りが小さな小屋を満たしていた。
片腕いっぱいに摘んで小屋に帰って看板代わりのランプをつるす。
お鍋の中はグツグツいってるからお客様が来ても大丈夫ね。
黒いフードにマントの人が来た。
お客様ね。
ランプの下にある小さなカウンター越しにわたし達は向き合う。
「あれはできたか?」
低い声に小さく答える。
「今、最後の材料がそろいました。大丈夫、即死で、ばれないのがうちの薬のいいところですから」
毒殺屋は意外に繁盛するのね。
母さん。
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