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ログハウスのような外見だったが、中身も木を基調として落ち着いた雰囲気。 何人かもう住んでいるのか玄関の横の下駄箱には種類もサイズも様々な靴が収まっていた。 玄関で靴を脱ぎ、共同の団らんスペースに案内された。 TV、ソファ、テーブルなど共同で使っているリビングといった感じだ。 「お茶と珈琲、どっちが良い?」 「じゃあ、お茶で」 「ちょっと待っててね」 共同リビングと繋がる形で、いわゆるダイニングキッチンが設けられていた。 そこにお茶を汲みに行ってくれたらしい。 「はい、お待たせ。あ、僕ったらうっかり。名前聞いてなかった」 「あぁ……」 本当だ。名前言ってなかった。電話で名乗る暇なんてなかったしな。 むしろ、名前も確認しないで家あげちゃうこの人スゲーな。仮にも一緒に生活するかもしれない奴を。 「郁未 司(いくみ つかさ)です」 「ふんふん、郁未か、宜しくね。僕は凉峰 桐(すずみね きり)」 「うっす、宜しくお願いします」 涼峰さん、ね。……もう、涼峰でいいや。歳上っぽいけどいいや。
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