ルームシェア

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「郁未はさ、此処に住むよね?」 「まぁ、金もないんで、他に良いところが無きゃ……」 まぁ、建て前だ。「また今度」に大抵、次はない。つまり、「他にいいところが無きゃ」は「俺は此処には住みません」だ。 「よし決定!」 「はぁ!?」 誰が住むっつったよ!建て前だ!!俺は此処には住みません!すみませんが!……あ、ちょっと今の上手くね? いや、こんなことはどうでも良いんだよ!さっきあんな言動してきた奴のところに住むわけないだろう!? 「共同リビングの横っちょに階段あるでしょ?あれ上って、2階が個人の部屋になってるから。1人1室、8畳。」 「は、8畳……」 じ、地味に広い。綺麗だし、下手なアパートより好物件なのが悔しい。管理人が美人なお姉さんだったら即決してたところだ。 「あと、ベッドは備え付けであるから」 「マジすか」 「必要最低限の日用品とかは困らないよ。トイレは1階と2階に1つずつあって共用ね。お風呂は1階に1つ。あらかじめ入る時間を予約して決めておく」 もう住む前提でポンポンと説明してきやがるうえにポンポンと良いことばっかり言ってきやがる。 「あー、月いくらぐらいかかります?」 そうだ!好物件こそ賃金がかかるってもんだ!騙されねぇぞ俺は! 「あぁ、家賃ね。学生さんでしょう?可愛いし、バイトの収入額とかにもよるけど、格安だね」 「か、格安……」 そんなアバウトな家賃決めあってたまるか。 「格安だよ」 スゲー良い笑顔で念を押されてる気がする。 まぁ何より金がなきゃ生きていけない。まず大事なのは金と家だ。その両方が今なんとかなろうとしている。 ……待て!人によって格安の額は違うぞ。だ、騙されねぇ。 「具体的には?」 「えー……んー……光熱費ぐらいで良いや。僕、お金に困ってないし、此処のルームシェアもね副収入程度にしか思ってなかったから。いろんな人が楽しく生活してくれたらって思って人集めてただけだからね」 「本音は?」 「失礼な本音だよ。好みの子が来たらタダででも此処に住まわせて観察しようなんて思ってない」 ……完璧に思ってやがる!!
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