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…哲は帰宅後、6畳のフローリングの部屋で何時もの様に型の稽古をしていた…
流れる様な動きに加え、気迫は凄まじく…
“鬼神の如き武人”と称されている彼らしいものであった。
…2時間後…
哲は稽古の手を止めると、右側の壁へ身体を向けた。
…壁の向こうには、蛍の部屋がある…
「蛍…綺麗になったな…」
(表に出さずにいるのが難しくなってきちまったなぁ…
仁志も牽制し出すし…)
「弟子に遅れをとるなんざ、御免だからなぁ」
独り言を言いつつ腕組みし…
暫くすると…ニヤリと笑った。
「小細工なんざ、俺のガラじゃあねぇ。正攻法で行く」
壁際まで歩を進め、壁に右手をついた。
「…雪花(シェファ)…」
(やっと…見つけた、永遠の伴侶。今度こそ…)
哲は切なげに瞳を揺らし…壁に身体を寄せた…
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