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「こんなに凄いのを持ち歩いても大丈夫か?」
「常に身につけておいてください。人間の姿をしている以上、私が対応できない場合もありますので。」
「わかった……テンタクル、ありがとう。」
手を前に出すと、触手が伸びてきたので、よしよしと撫でてあげた。嬉しそうにプルッと震えると、近くから去ってしまったらしい。
「マスター、次はジュエルスライムからです。治療にお金がかかるかもしれないから、と質の高い宝石をいくつかもらいました。」
「えっ!?質が高い物って時間がかかるんでしょ?そんなに大事なものもらっちゃ悪いから!」
と断ると、帝が
「………ほとんど人が来ないので、溜まる一方なんだそうです。むしろ、減らしたいらしく、処理に困っています。」
と通訳してくれた。
「え……難易度、高すぎたか…?」
「そうではありません。人間が弱いからいけないのです。…ひとまず、宝石を治療費にあてましょう。」
俺は、帝の言葉に頷き、おとなしく宝石を受け取った。本当に、音夜さんみたいな人なら奥まで入って来れるのにな…と思いながら宝石を小さな袋に入れ、首からかけることにする。
「一応お仕置きした人からもらった現金も持って行こう。金貨5枚と、銀貨を5枚。それだけあれば足りるよね、キューブ?」
『はい。それだけあれば、一週間素敵なホテルに泊まる事が出来ます。』
「そっか。なら大丈夫だな。」
俺達は安心してその後の日々を過ごした。
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