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「…今日からよろしくお願いします。」
「うん。よろしくね。…さて、集まったばかりなんだけど、そろそろ行こうか。到着が遅くならないようにね。」
「はい。わかりました。」
帝がそう答え、俺を乗せた車いすを動かし始めた。俺は、音夜さんが前にいることを確認すると、細く息を吐いた。実は、この前死への記憶を見た時から全身がズキズキと痛むのだ。慣れてきたのでまだ良いが、初日の夜は眠れなかった。
「今から歩いて、この森で一泊。それから近くの街で一泊、その先一日歩いてその人の所に到着。一日治療して、後は同じように帰るだけ。………いいかな?」
音夜さんがそう言った。歩きながら言っているのか、少し声が遠い。
「そんなに早く治療が終わるんですか?」
「んー……結構早く終わるんだけど、リモくん次第かな。頑張れば早く終わる。」
いつの間にかこちらを振り向いたみたいだ。声が近くなる。
「俺次第……ですか。頑張ります。」
「うんうん、その心意気が大事だよ。若いうちはなんでも頑張らないと。」
少しおじさんのような目線に、俺は音夜さんの年齢が気になった。見た目は25歳とか結構若そうだったけど、もう少し上なのだろうか?
「音夜さん……今いくつなんですか?さっきから少し発言が…」
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