鎮魂歌(ほろびのうた)

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「あはは。おっさんくさいかな?俺は今48だよ。」 「よんじゅ………えぇ!?」 予想を遥かに超えた答えだった。歳をとっていても30歳くらいだと思っていたのに。声も若々しいし。 「そんなに驚く事かな?」 「25歳くらいだと思ってました…」 「ははっ!そんなに若く見られたら、おじさんは照れちゃうよ。」 「…音夜さんは、家族とかいるんですか?」 「ん?あぁ……いるよ。俺にはもったいないくらい素敵な奥さんと、男と女の双子。最近は魔法学校に通うようになって、少し寂しいんだよね。」 そう、幸せそうに音夜さんは言った。 「そうなんですか……えっと…なんでこんな所にいるんですか?」 「ん?これが俺の仕事だからね。退魔師……この世に残った霊をあの世に送るお仕事。世界中を回って、救われない魂を神様に救ってもらうのが目的らしいよ。」 「……らしい?」 「うん。俺自身はほとんど本部に行かないから、他の人の受け売り。この前の口の悪いのは俺の相棒だよ。………それにしても、この国は変わってるね。」 「そうなんですか?」 「うん。俺の国…というか今まで回ってきたどの国にもダンジョンなんて無いし、こんなに呑気に歩けないからね。普通の道に魔物…とか普通だし。」 「へぇ………大変なんですねー。」 特に大きなトラブルも無く、野営をした俺達は、次の日には予定通り街に着いた。
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