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side 如月 音夜
自分の騎士で遊ぶというとんでもない事をしていたリモくんは、少し寂しそうな顔をしながらも眠りについた。
「………帝くんは、リモくんの過去を知ってるの?」
少し、気になった事を聞いてみることにした。
「いいえ。私がマスターと出会ったのは約1年半前です。それ以前の事は知りません。」
「リモくんの家は見た所かなり大きい所だと思うんだけど、他の使用人とかから話は?」
「いませんから、聞いた事がありません。」
「………は?いない?」
「はい。いません。マスターにお仕えしているのは、主に私のみです。他に忠誠を誓っている者もおりますが、いずれも私より後の者です。」
あり得ない。あんな、お金の使い方すら分かっていない子が誰の庇護も受けずにあそこまで生きていれる訳がない。
「じゃ、じゃあ、リモくんは今までどうやって生きてきたの!?」
「………知りません。しかし、私がマスターに出会った時、マスターは自分の名前が無いと言いました。そして、マスターは自分の名前を付ける前に私に名前をくださいました。」
帝くんは、そう言っていつも無表情の顔を少しだけ緩めた。
「マスターがご自分の名前を定めたのは半年前です。それも、初めてできたお友達に名乗ろうとした時に名乗れなかった。という理由で。」
そう言って、帝くんはリモくんの頭を撫でた。リモくんはもそもそと帝くんの手に頭を擦り付けていて、まるでもっと撫でて欲しい子猫みたいだった。
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