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side リモ
街を出て少し……早速盗賊に出会った。門番に気をつけろとは言われたけれど、こんなに早く出会うとは……
「おい!そこの坊ちゃんの持ってる金目の物全部寄越しな!そうすれば命だけは助けてやるよ!」
なんとも雑魚な人間が吐きそうな言葉を投げかけてきている。
「帝……俺たちは囲まれてる…で合ってる?」
「はい。正解です。全部で8人。等間隔に。」
「………じゃあ、俺がやります。音夜さん、俺の近くに寄って下さい。」
「う、うん……?何をするのかな?」
「最近覚えて、まだ使ってない魔法があったのを思い出したんです。つかってみようと思って。」
「そっか……頑張って。」
音夜さんが近くに来た雰囲気を感じたので、俺は手を前に出す。
「"ジャッジ(判定)。この場合我々は裁かれるか"……帝、手の上に何か書いてある?」
「"否"とだけ。」
「そっか…じゃあ、"ジャッジメント(判決)、有罪。彼の者に相応の罰を。"」
すると、辺りにとても大きな雷の落ちる音がして、ドサッと地面にが落ちる音が複数した。
「…結構悪事働いてるんですね………かなり大きな雷でしたけど…」
「組み合わせ型の魔法……ずいぶん珍しいのを使うんだね…」
「え?あぁ……こうやって限定しないと、自分にも降りかかるかもしれないので……組み合わせ型というより、念のためってやつですね。……あ、帝、なんか面白いの見つけた?」
「いつの間に漁ったんだろ…」
「マスター、こんな物が。」
音夜さんがつぶやくなか帝が手に乗せてくれたのは、ぐにぐにとした弾力の豆のようなものだった。
「………!これは……!」
「な、何々!?それなんなの?」
「"植物型スライムの種"!」
「………え?何それ?スライムって種から生えるの?」
少し…いや、かなり間が開いて答えが返ってきた。音夜さんも返答に困ったんだろう。
「まぁ…ある特定の珍しい種類ですが。……もらってこう…これ、普通の人からしたら使えない物だし……」
「俺はリモくんがこれを欲しがるのにもびっくりしたけど……うん、まぁ…いいんじゃない?そのうちそこら変に捨てられそうだし。」
俺はそのスライムの種をそっと宝石とかが入ってる小さな袋に入れた。……戻ったら植えてみよう。何ができるか楽しみだ。
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