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そんなこんなでようやく目的地に着いた様だ。音夜さんがこちらに声をかけた。
「着いたよ。ここが俺の知り合いの家。」
「………入りたくないです…」
「な、なんで!?」
音夜さんが驚いている。…俺も驚いているんだ。この先に、何かとても怖いものがあるような気がして、細かく震えが走ってしまうくらい怯えている自分に。
「……………リモくんはこの先に何か感じるの?」
「大きくて、怖いものがあるような気がします………」
「大きくて怖いもの、ね………まぁ、人によっては間違ってないかな。リモくんは敏感なんだね。"今から目的地に着くまで、リモくんは何も聞こえない。何も見えない。何も感じない。だから安心してお眠り"。………ごめんね。」
音夜さんの謝罪の言葉を最後に、俺は深い眠りについた。
「"おはよう、リモくん。目的地に着いたよ。"」
「…………うぅ……帝…」
「はい、マスター。」
意識が覚醒すると同時にものすごい近くに威圧感を感じて怯えた。帝に助けを求めて、手を握ってもらう。
「こんにちは。はじめまして。暗夜と言う者だ。」
柔らかな低音の声で話しかけられた。しかし、威圧感の元はこの人だ。
「………兄弟…いえ…親戚ですか?」
返事の前にそう聞いたら、暗夜さんが笑った。
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