第1話

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ここは… 幼い頃の私… 映し出されたのはま、まだ8歳くらいのメリアだった。 隣で手を繋ぐ男の子に、笑いながら話し掛けている。 でも、この男の子の手は冷たくて、冬なのに長袖をきている。 教会の、前に立つ二人の後ろ姿 メリアが教会に入ろうと男の子の手を引くが、男の子はそれを嫌がった。 まるで神様を拒んでいるように… 「俺、グレンは、メリアとずっと一緒にいたい」 グレンと名乗る男の子は突然、そう言葉にする。言葉の意味があまり理解できないメリアは、お友達としてだと思い、笑顔で頷く。 懐かしい… まるで、生まれる前から知っていたような感覚… そのあとも映像は、二人の仲よく遊ぶ光景を映し出す。 しかし、しばらくしてグレンは涙を流し始めるシーンに切り替わる。そして… 「でも、もうメリアと会えなくなるけど、絶対に迎えにいくから。だから、それまで待ってて。約束だよ」 グレンと名乗った男の子と交わした約束… メリアは、今ハッキリ思い出した。 あの日、グレンと約束した日、アカイブ宮殿の門が閉じられた時だ。 その日以来、グレンに会っていないために、記憶のすみに置き去りにされていたのかもしれない… 映像が消えたあと、グレンはメリアの首筋に唇を落とした。 「や、いや…」 「安心しろ…痛くしないから」
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