はじまり

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はじまり

ある所に隠れ里がありました。 数ある隠れ里の中でもその里は特に、武具や秘術を開発・売買する所でした。 ある日、長老がいいました。 「禁術を執り行う」 その命令により集められた100人の子供たち。 攫われたもの、売られたもの、身寄りのないもの…様々な理由の、様々な年齢の子供たちが底の見えない暗い暗い縦穴に閉じ込められました。 「ここから出れるのはたった1人だけだ。戦うがよい」 最初は戸惑っていた子供たちも暗闇という空間で、次第に狂って行きました。 血と叫び声と鳴き声。 闇の中で何が起こったのか、子供たちにも分からぬうちに、命を落としていき、そして奪っていきました。 3日3晩続いた狂気がやっと静まり返り、そしてとうとう1人の子供が穴から出てきました。 漆黒の髪 紫の瞳 自分のか誰のか分からないほどのおびただしい血を纏った女の子。 「素晴らしい…」 「とうとう完成した」 力尽きて穴の側で倒れる女の子に、長を始め集まった人々は口々に賞賛の声を上げました。 「お前の名前は“鴉”だ」 「からす…」 「そうだ。お前は戦う為に生まれた。人を殺す為に生まれた。良いな」 「…はい」 こうして生まれた“鴉” その10年後 まさか自分達の作った兵器によって里がなくなるなど、この時は誰も思いもしなかったのです。 “鴉” 誰にも求められず、誰にも想われず、ただ闇に生きていた。 里を無くした鴉が、その後どうなったか…知る者はいない。
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