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「我が護衛に適した忍出ないことを知っていてなぜ…」
「まぁ…いろいろ考えがあるんだよ。それに、今はあくまでお館様の考えであって、決定するのは美音ちゃん本人だよ」
「なら問題はない…」
(我に恐怖しない者などいなかったのだから…)
それが鴉が一つの所に留まれない理由。
人を殺すため生まれた化け物。
居場所などないのだ。
一瞬、それを思い出し悲しくなるが、すぐさまそれでいいのだと、自分を納得させ、言い聞かせ、考えるのを止めた。
だが、佐助はそれを見逃さなかった。
(なに、今の表情…)
決して大きな変化ではなかった。
瞳に悲しみが宿った、それも一瞬だけ、その程度。
だが、佐助は驚きを隠せなかった。
(まさか、あんなにもすぐに感情が感じられるなんて…)
まだ出会ってたった2日目なのに…
(それに悲しみ…)
忍としてそれは決してあってはならない感情だ。
忍の世界に慈悲の心はない。敵であれば同郷の者であれ、切らなければならない。故に慈悲は必要ない。
悲しみも同じだ。
(つーか、いちいち悲しんでなんていられないし…)
今は戦国の時代。
当たり前に死はある。
(まぁ…それをなくそうとしているのが美音ちゃんと愛ちゃんなんだけどね…)
愛は、奥州の姫だ。
美音の友達で同じように未来からやってきた。
甲斐と奥州は、今や平和を目指す者として、同盟を組むまでになった。
「断るに決まっている」
鴉の言葉に佐助は思考を止める。
「だといいけどね~…」
そしてそう相槌を打ったのだった。
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