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幸村と別れ、佐助に連れられ、鴉は自分の部屋へと戻る。
「じゃあ呼ばれるまで待機しててよ」
勝手に出ていかないように。
そう言って佐助は任務に出て行った。
(暇だ…)
まさかこんなに暇になるとは鴉は思わず、暇を持て余していた。
(さて、何をしようか…)
と言っても何もすることはない。
(少し外に行くか…)
佐助の注意を忘れ、鴉は部屋を出たのだった。
ーーーー
ところ変わって広間では、佐助、幸村、信玄の3人で、鴉について話し合いが行われていた。
「お館様、某には鴉を雇った理由がわかりませぬ」
「俺様にも説明してもらえませんか?」
幸村と佐助は信玄に尋ねた。2人共信玄の決定に不満があるわけではない。だが、その真意がわからなかったのだ。
「理由は二つある。一つは鴉を他の武将に渡すわけにはいかないということじゃ。鴉がいれば戦も簡単に傾く。戦乱の世の力関係を簡単に変えることができる。鴉の能力はそれほどまでに恐ろしいものだ」
信玄は茶をすすると話を続けた。
「もう一つの理由は、これから平和の世を築くために鴉のような者は生んではならぬと考えている。あのような力を持っていても、それと真正面から向き合うのも、わしらの使命だと思うのじゃ」
信玄は鴉を、戦乱の世の象徴と捉え、なくそうとしていたのだ。
(使命、か…)
幸村は、平和の世を作る重さを改めて感じ、信玄に、
「さすがお館様。そこまで考えておられるとは…」
と感心して言った。
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